2020/10/21 15:00

当初はコーヒー農民の支援をと考え、2008・2009年ルワンダを訪ねました。ジェノサイドで夫を亡くした未亡人達が運営する、コーヒー豆のウォシングステーションや、孤児が収容されていた施設などにも行きました。そこで目にしたのはコーヒーや紅茶などの換金作物を持たない、特に地方に住む収入源の無い人達の厳しい状況でした。彼等に一時的に物を提供する支援ではなく、地域に存在する材料から自ら製品を作り販売する(地産地消)、そんな関わり方が出来ないだろうか?と考えさせられました。でも私自身何か技術を持っているわけではありません。それでも何か?と考え続けました。そんな時、移動中の車窓から見た"どこまでも続く道路の両サイドに群生する、また丘を覆いつくすバナナの木々。これは訪問した他のアフリカ各国では見なかった光景で、こんなに群生するバナナから出来る製品は何だろうか?と思い至りました。

帰国後まず図書館で参考書籍を探しました。見つけた本は森島紘史氏著「バナナペーパー・持続する地球環境への提案」、サブタイトルには「バナナペーパーが地球を救う」というものでした。私自身は環境との関係など全く思いもよらなかったのですが、あたかも今後の取り組みを後押ししていただいた様な、心強いエールを送られた様に感じました。

でも紙作りについても全く経験がありません。そこで日本で有数の埼玉と山梨の手漉きの郷を訪ね、手ほどきを受けました。そして分かった事は、バナナの繊維は和紙の材料である楮やミツマタと比べて大変固いこと。そのため粉砕する機械や柔らかくする薬品を使う必要がある、との点でした。でもルワンダでは2011年当時から、環境に配慮してレジバッグの使用を禁止するほど、環境に厳しい国です。また地方では電気も満足に使えません。さぁどうしたら?いきなり壁にぶつかりました。

こんなスタートから始まった、ルワンダバナナペーパー・プロジェクト。手先の器用な国民性にも助けられ、全て手作業で、薬品を一切使用しない、現在では見事なバナナペーパーが完成しました。是非お手に取ってご覧いただきます様に!